黄斑疾患
網膜動脈閉塞症とは
網膜動脈閉塞症とは、急に目が見えなくなる病気です
網膜動脈閉塞症の種類
網膜動脈閉塞症は、以下の2つに分類されます。
網膜動脈分枝閉塞症
網膜動脈分枝閉塞症 網膜動脈の枝の血管が閉塞してしまうのが、網膜動脈分枝(ぶんし)閉塞症です。 血液が届かないのは血管が閉塞した箇所から先の網膜だけで、それ以外の網膜の機能は残ります。 自覚症状は、閉塞して虚血に至ってしまった網膜の部位に相当する視野欠損(視野が欠ける)がみられます。ただし、黄斑の血流を司っている血管も閉塞すると、視力も極度に低下してしまいます。
中心動脈閉塞と動脈分枝閉塞の発症の比率は、ほぼ半分半分です。
網膜中心動脈閉塞症
網膜動脈閉塞症の症状は、閉塞した血管の部分により異なります。網膜の動脈は、眼球の後方にある視神経内を通り、視神経乳頭で枝分かれして網膜全体に広がっています。枝分かれする前の、心臓により近い側の動脈を網膜中心動脈といいます。この網膜中心動脈が詰まると、網膜全体が血液の届かない虚血きょけつ状態に陥ります。網膜の細胞は光を感知できなくなり、視力は矯正視力で0.1以下にまで低下します。
できる限り速やかな治療が重要
閉塞した網膜動脈は、治療しなくてもやがて血流が再開します。しかし、網膜の神経細胞が虚血状態に耐えられる時間は、長くても1時間ほどしかありません。この時間内に動脈が再疎通しなければ、その後で血流が戻っても、もう神経細胞は機能してくれません。最終視力は、発症時の血管の閉塞の程度と、発症から治療開始までに要した時間の長短が左右します。この疾患の治療は緊急を要するので、眼科での救急疾患のひとつです。
ところが網膜動脈閉塞症は、例えば心筋梗塞の胸痛発作のような強い痛みなどを感じないので、ほとんどの人は急に目が見えなくなっても、時間を争う緊急な事態だとはわかりません。眼科医に受診するまでに数時間から数日経過してしまい、結果的に多くの人で高度の視力障害が残ってしまいます。
網膜動脈閉塞症の主な症状
片眼に突然おこることが多く、痛みは感じませんがものが見えにくくなります。 時間の経過とともに、強い度数の眼鏡を掛けても視力は0.1以下にまで低下することがあります。ときには発症前のある時期、網膜の瞬間的な詰まりによって、ほんの数秒間だけ目の前が暗く感じる「一過性黒内障」や軽度の頭痛、目の奥の痛みを自覚することもあります。その場合すぐに受診してください
このような症状は
ありませんか?
- 急激な視力低下
- 視野が欠ける
- 視界が部分的に黒くなる
網膜動脈閉塞症の原因
動脈硬化との関連がいわれています。心臓や首の血管の内側にある血栓が何かのはずみで剥がれて、血液の流れに乗って眼の動脈にまで届いて詰まります。脳梗塞が目に起きたと考えていただくとわかりやすいと思います。症状として、いきなり見えなくなったり視野が欠けます(何日の何時に急に暗くなった、等)。痛みはありません。閉塞してしまうと、網膜に血液が流れなくなるために網膜が白くなります。ときには発症前のある時期、網膜の瞬間的な詰まりによって、ほんの数秒間だけ目の前が暗く感じる 「一過性黒内障」や軽度の頭痛、目の奥の痛みを自覚することもあります。その場合すぐに受診してください。網膜動脈閉塞症の検査
眼底検査、光干渉断層計(OCT)、光干渉断層血管撮影、蛍光眼底造影検査などで、閉塞している血管の部位、範囲、障害のされ方、黄斑部の浮腫の有無などを評価します。
網膜動脈閉塞症の治療
早急に手術が重要です
網膜の細胞が血液がない状態に耐えられる時間は、長くても1時間ほどしかありません。この時間内に動脈が流れなければ、もう神経細胞は機能しませんので、緊急治療が必要となります。ただ、痛みがないため、ほとんどの人は急に目が見えなくなっても、緊急事態と考えずに眼科受診までに時間が経ってしまい、結果的に多くの場合でほぼ失明状態となってしまうことが多いです。この病気は眼科での救急疾患のひとつであり、血流を少しでも早く再開させることができれば、視力がある程度回復することがあります。眼球マッサージ、心筋梗塞で使われる亜硝酸薬、網膜循環改善薬、眼圧を下げる治療、血栓を溶かす点滴を行うこともあります。このような治療によって、視力回復の可能性は決してゼロではなく、なかには中心 動脈閉塞でも正常近くまで回復する人もい ます。最終的にどの程度の視力になるかは、 発症時の血管の閉塞の程度と治療開始までの時間が左右します。