眼瞼けいれん・
片側顔面けいれん
治療方法
ボツリヌス療法
目の周りの筋肉に緊張をやわらげるおくすり(ボツリヌストキシン)を注射する治療方法です。 治療時間も短く、通常は入院も不要で、次の日からは普段と変わりなく生活ができます。非常に効果の高い治療方法ですが、効果の持続期間が数ヶ月のため、何度も繰り返し治療を受ける必要があります。
薬物内服療法
筋弛緩薬、向精神薬や抗てんかん薬などを内服する治療です。
効果は十分でないことが多いのが現状です。薬での治療をおこなっていても、数か月後に再発して徐々に内服薬が増えていき、最終的にはボトックス注射を選ばれる方もいます。
ボトックス療法と併用することで、ボトックスの効果が持続する場合もあります。
手術
眼瞼けいれんの場合
まぶたを開きやすくするように、まぶたの筋肉や皮膚を短くする手術などがあります。
または目の周りの筋肉に指示を与えている親権を切断する手術などがあります。
片側顔面けいれんの場合
片側顔面けいれんの原因である血管による神経の圧迫を取り除く手術などがあります。これは片側顔面けいれんの根治療法であり、この手術を受けた大多数の患者様はこの手術によって治癒します。
ボツリヌス療法について
ボツリヌス療法とは、ボツリヌス菌が作り出すボツリヌストキシンを注射して神経を麻痺させ、異常に緊張している筋肉を緩めます。現在の日本では眼瞼けいれん、片側顔面けいれん、痙性斜頸のみに対して承認されています。
ボツリヌストキシンはボツリヌス菌が作り出す、天然のたんぱく質でできた毒素を無毒化したものです。このことから、使用をためらう方もいらっしゃいます。しかし、規定の講習実技セミナーを受講した医師が正しく使えば、決して危険な薬ではありません。薬が届くまでに時間がかかるので、早めの相談をお勧めしています。
方法
ボツリヌス療法は、緊張している筋肉にボツリヌストキシンを直接注射するという方法で行われます。入院する必要はありません。当日こそ入浴や激しい運動はできませんが、翌日以降は、これまでと同じように過ごすことができます。もちろん、注射液の中にはボツリヌス菌は入ってないので、注射した後にその場所でボツリヌス菌が増えるなどということは決してありません。
注射する場所
眼瞼けいれんの場合
通常は1眼あたり6箇所、まぶたの筋肉内に注射します。
片側顔面けいれんの場合
顔面筋のうち強いけいれんが見られる部位に注射します。強いけいれんがある筋がいくつもある場合は、分割して注射します。
効果
ボツリヌストキシンは、神経と筋肉の伝達を遮断して、筋肉の緊張を取り除きます。ボツリヌストキシンは、注射した筋肉とその周りにある筋肉にしか作用しません。
効果は注射後、2~3日後から徐々に現れ、通常3~4カ月持続します(個人差があります)。効果は徐々に消えてしまうので、継続して治療をする場合は年に数回、注射が必要となってきます。
副作用
副作用として次のような症状が現れることがあります。副作用の多くは一時的なもので、ほとんどは効果の消失と共になくなります。症状が現れた場合には医師に相談してください。
- 腫れたり、赤くなる
- 痛みを感じる
ボツリヌストキシンとは
ボツリヌストキシン(ボツリヌス毒素)は、ボツリヌス菌によって作られる毒素です。
1977年にアメリカで初めて斜視治療に対して用いられ、その後、眼瞼けいれん、片側顔面けいれん、痙性斜頸の治療にも用いられるようになりました。ボツリヌストキシンのもっとも基本的な作用は、筋肉の緊張をやわらげる事です。そのため、筋肉の緊張やけいれんによって引き起こされる、眼瞼けいれん・片側顔面けいれん・痙性斜頸に効果的に作用します。
治療が受けられる場所
ボツリヌス療法は、どこででも受けられるというものではありません。薬を使うための規定の講習実技セミナーを受講した医師のいる医療機関に限られます。そこでも、すぐに治療を受けられるわけではなく、診察を受け、医師が治療内容、薬の使用量を決定し、注射予定日を予約し、数日から2週間後、医療機関に薬が届けられてはじめて、治療が受けられるのです。
なお、この薬は使用する前の準備が必要な上、医療機関に長時間保存することもできません。予約した治療日時は、必ず守るようにしてください。
ボツリヌス療法後の気を付ける点
- ボツリヌス療法を受けた数日後にけいれんが弱まると、まぶたが閉じにくくなり、目の乾燥によって角膜や結膜が傷つくことがあります。その場合は点眼薬等での治療が必要です。
- 他の症状で医院を受診される場合には、ボツリヌス療法を受けたことを、医師にお伝えください。
- 治療当日は、注射をした部位を揉んだり、擦ったりしないでください。
注射をした部位を揉んだり、
擦ったりしないでください。